SEOの施策において、何年も前から言われ続けている「共起語(きょうきご)」という概念があります。
AIが台頭してきて、共起語の概念は更に重要度が増してきたと考えています。
LLMOやAIOやGEOにも通じる概念であり、重要なデータになるというところですね。
弊社ではずっと以前から「連想ゲーム」として位置付けて、考えるようにしてきました。
最近は「E-E-A-T」の話が中心になりがちですが、コンテンツを作成する上での基本として、この共起語の考え方は依然として重要です。
ただ、「共起語ツールを使って、出てきた単語を全部盛り込みましょう!」というような、一昔前のSEOテクニックをお伝えしたいわけではありません。
弊社でも共起語に関するツールは利用していますが、正直、難しい話だなと感じることも少なくありません。
弊社で例えますと、「SEOに関するデータ」と「SEOを施策する時に現場で必要とされる技術のデータ」とでは内容は全く異なりますよね。
弊社では、なるだけ後者の内容を充実すべく考えておりますが、顧客接点となるのに重要なデータは前者であるとも考えております。
このお話は、クエリの種類の違いにも発展してきます。
クエリの種類に関してはまた別で解説させていただこうと思います。
話を戻しますと、共起語をツールだけに頼ってしまうと、どうしても慣れがない文章になったり、普段関わらない領域まで含んでしまうこともありますので注意したいところなのかなと考えています。
逆に語彙力を鍛えるには物凄くいいことだと考えます。
今回は、共起語の基本的な仕組みから、昨今の「言葉の繋がり」の重要性や「トランジションワード」について考えてみたいと思います。
共起語とは?
共起語とは、ある特定のキーワードが出現する際に、「一緒に使われる頻度が高い言葉」のことです。
まさに連想ゲームですね。
「関連キーワード(サジェスト)」と混同されがちですが、少し違います。
- サジェスト(関連語)
- ユーザーが検索窓に「キーワード」と一緒に打ち込む言葉(検索ニーズ)
- 共起語
- あるテーマについて書かれた文章の中に、自然と頻出する言葉
検索エンジンは、この共起語の出現状況を見て、「この記事は何について書かれているのか?」「専門性は高いか?」を判断していると言われています。
アニメの「ワンピース」を例にして考える
定義だけだと難しいので、国民的アニメの「ワンピース」を例にして考えてみましょう。
もし、検索エンジンに「ワンピース」という単語だけが投げられた場合、Googleは困ってしまいます。
なぜなら、「ワンピース」には2つの意味があるからです。
- アニメ・漫画の「ONE PIECE」
- 女性服の「ワンピース」
ここで、共起語の出番です。
- 【パターンA】
- 文章の中に「ルフィ」「海賊」「悪魔の実」「ジャンプ」「尾田栄一郎」といった言葉(共起語)が含まれていれば、Googleは即座に「あ、これはアニメの話だな」と理解します。
- 【パターンB】
- 逆に、「レディース」「ファッション」「夏コーデ」「花柄」「着こなし」といった言葉が含まれていれば、「これは洋服の話だな」と理解し、ショッピングサイトやファッション誌の検索結果を表示します。
つまり共起語とは、「そのキーワードが、どのような文脈(Context)で使われているかをGoogleに伝えるためのヒント」なんですね。
ツールを使って発見するのが効率的
「じゃあ、どんな言葉を使えばいいの?」と悩んだ時は、ツールを使うのが効率的です。
「共起語検索」などで検索すれば、無料のツールがたくさん出てきます。
上位表示されているサイトが、共通して使っている単語を抽出してくれるわけですね。
自分だけで考えていると、どうしても使う言葉が偏ってしまいます。
ツールを使うことで、「あ、ユーザーはこのテーマについては『価格』や『口コミ』も気にしているんだな」といった、自分に抜けていた視点(網羅性)に気づくことができます。
ただ、あまり拘らなくてもいいかもしれない
ここまで書いておいてなんですが、個人的には「共起語を詰め込むことに、そこまで拘らなくてもいい」と考えています。
もちろん、”共起語を意識しなくていい”とまでは言いません。
ツールを見て把握しておくことは重要ですが、あまりに語彙が広がりすぎて、全体の文字数に対してキーワードだけが並んでいる状態になると、それは本末転倒です。
「そこまで共起語に拘らなくてもいい」という意図は、その分野に精通したプロフェッショナル(E-E-A-TにおけるExpertiseがある人)が記事を書けば、意識しなくても自然と共起語は含まれるからです。
(結果論として、自然と共起語が含まれる状態になっている・・・という意図です。統計学的な考え方ですね。)
逆に、詳しくない人がツールで出した共起語リストを見て、
「えーと、この単語とこの単語を入れなきゃ・・・」的な感じでパズルのように記事を作るとかなり不自然になりますよね。
大抵の場合、文章の流れが不自然で、読んでいて違和感のあるコンテンツになります。
GoogleのAIは非常に賢くなっているので、無理やり単語を詰め込まなくても、文脈やニュアンスを理解してくれます。
AIはとてつもなく早いスピードで学習されていますからね。
ですので、ツールはあくまで「書き漏らしがないかのチェック用」程度に留め、基本は「ユーザーに伝えるための自然な言葉」を選ぶべきだと考えます。
トランジションワードも重要
共起語(名詞や動詞)と同じくらい、あるいはそれ以上に意識したいのが「トランジションワード(Transition Words)」です。
日本語で言うと「接続詞」や「つなぎ言葉」のことです。
- 「しかし」「ですが」(逆説)
- 「つまり」「要するに」(要約)
- 「例えば」(例示)
- 「そのため」「したがって」(因果関係)
SEOにおいて、なぜこれが重要かというと、「論理の構造」を明確にするからです。
単語(共起語)が散りばめられているだけでは、情報の羅列に過ぎません。
それらを適切なトランジションワードで繋ぐことで、「AだからBになる」「AですがBという視点もある」というロジックが生まれます。
昨今のSEOやAIO(AI最適化)では、AIがコンテンツの内容を読み解く能力が上がっています。
適切な接続詞を使って、論理的に構成された文章は、AIにとっても(もちろん人間にとっても)読みやすく、理解しやすいコンテンツとして評価されやすくなると考えられます。
「キーワードを入れること」に必死になって、文章の繋がりがおかしくなっていませんか?
一度、接続詞の使い方を見直してみるのも、立派なSEO施策の一つです。
過去に、「トランジションワード」に関する記事を書いていますので、そちらもあわせてご覧ください。
まとめ
以上、共起語について考えてみました。
- 共起語
- Googleに「何の話をしているか(文脈)」を伝えるための重要な要素。
- でも無理は禁物
- プロが書けば自然に入る。無理に入れると不自然になる。
- トランジションワード
- 論理を繋ぎ、読み手(人間・AI)の理解を助ける接続詞。
「ワンピース」の例で出したように、言葉は文脈によって意味が変わります。
その文脈を正しく伝えるためには、適切な単語選び(共起語)と、論理的な構成(トランジションワード)の両方が必要です。
テクニックに走るのではなく、「どう書けば相手に誤解なく、分かりやすく伝わるか?」を突き詰めていくこと。
単発でコンテンツをつくろうとするのではなく、改善に改善を重ねられるような設計で、何度も改善することが重要かなと考えています。
結局のところ、それが一番のSEOになるんじゃないかなと考えています。
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最後に余談ですが・・・。
久しぶりにアニメ・漫画の「ワンピース」を例にするケースが増えてきた気がしています。
一時期、「ワンピース」を全く見なくなった時期がありました。
それ以前もですし、SEOのロジックをお話しする際にはいつも「ワンピース」を題材や例にしていたんですが、「ワンピース」を見なくなった時期は、ぱったりと「ワンピース」を題材にすることはなくなりました。
不思議なものですね。笑
そんなことをふつふつと思い出しておりました。


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